アンサンブル

デュオ 初期ペダルハープとフォルテピアノ

「わびさび」:古楽器による唯一無二のモーツァルト体験

現代に生きる二人の演奏者が、約200年前に製作された希少な初期ペダルハープ ― ハープ・オルガニゼ(harpe organisée と フォルテピアノ によって、モーツァルトの《ソナタ K.448》を甦らせます。古楽器がもつ繊細さや脆さを美ととらえ、歴史への畏敬の念と音楽を奏でる道具の一部として意識的に受け入れる ― そんな姿勢はどこか日本の美意識  侘び寂び に通ずるものがあるのではないでしょうか。モーツァルトのピアノ作品の原典の音にできる限り忠実に、歴史的な響きを踏まえたアプローチで奏でます。このアンサンブルでは、時間軸を静、音楽が生まれる瞬間を動ととらえ、それらがひとつの呼吸の中に同居する、生きた、親密な音楽体験を目指しています。

 

初期ペダルハープ:マリア・クリスティナ・クリアリー

フォルテピアノ:岩村かおる

  • ヤン・ラディスラフ・デュセック – ハープとピアノのためのデュエット 作品36 (英語では作品38)
  • ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト – 2台のピアノのためのソナタ ニ長調 KV.448
  • ムツィオ・クレメンティ – 2台のフォルテピアノまたはチェンバロのためのソナタより「メヌエット」作品1a
  • バルサダーレ・ガルッピ – ソナタ ニ短調 作品1-2(ハープとフォルテピアノのためにデュオによって編曲

 

使用楽器
ハープ 「バリー」‘Barry’ 約1815年頃 英国ロンドン
フォルテピアノ ズッカーマン18世紀モデル 「シュタイン」

Maria & Kaoru – early pedal harp and fortepiano

2人は岩村の論文『18世紀末ロンドンのコンサート・ライフとヤン・ラディスラフ・デュセック』(2003年)に付するコンサートの演奏時にアムステルダムで知り会った。2025年にデュオとして再会。本プログラムでは、クリアリーはプライベートコレクションのハープ・オルガ二ゼとも呼ばれる初期ペダルハープ  バリー を演奏する。ハイライトはモーツァルトのピアノデュオ作品、KV448で、この作品はピアノとハープの組み合わせで聞かれることは稀である。クリアリーが今回ハープのパートを原点にできる限り忠実に演奏可能にした。世界中に初期ペダルハープを演奏できる演奏家は数少なく、当時のペダリングや音楽スタイルの理解と実践には歴史的アプローチと知識が必要である。クリアリーはライデン大学にて『ハープ・オルガ二ゼ1720-1840年 ( Harpe organisée, 1720–1840)』 (2016年)という論文にて音楽博士号を取得している専門家である。

本プログラムで使用の岩村所有のズッカーマン「シュタイン」ピアノは、モーツァルトも称賛した当時のメーカーで、岩村のピアノは18世紀の仕様で作られている。木製のハンマーが鉄の弦をたたく特徴がはっきり聞こえる明瞭な音色で、古いハープとの組み合わせによって透明感のある、2台の繊細な音の世界が自然に融合する。

アイルランド人のクリアリーはイタリア在住で多忙な演奏活動の他、現在ヴェローナの音楽院 E. F. Dall’AbacoとジュネーブのHaute École de Musique にて教鞭をとっている。